古代から現代までの数学の流れを綴った本。とても興味深かったが、如何せん数学の用語が理解できない。数学の枠組は一握りの天才によって形作られてきたような感じがするけど、他の学問分野ではどうなのだろうか。
古代、数学が生活の中でどのように利用されてきたかや、各地域の文明ごとに数学の根本的な考え方に違いがあることを述べる序盤はとてもよい。筆者は西洋数学と東洋数学から「世界の数学」へ統合していく説明をするが、それ以前の、数学の多元的な芽を語る部分が最も生の人々を想起できるシーンである。
数学の発展が現代に接近するにつれて話はサッパリわからなくなる。語る内容もそうであるのだが、特にわからないのは、「その発想にどれほどの価値があるのか」である。ずぶの素人にとっては非ユークリッド幾何学やらリーマン幾何学がどんな意味をもってるのかを理解できない。其処を差し置いて、それらが数学の根底を揺るがす革命的な出来事であると語られても、数学者が感動するほどに私の心に響くことはない(理解できていないのだから当たり前である)。こうした発見の価値がわかる人からすれば、僕のような人間は「これだから俗物は…」と思われるだろう。でも「数学の歴史」とゆーからには、どれだけの人間を(意識的にも無意識的にも)動かしどのような影響を与えたかの説明がほしかった。
本書は数学史であって、歴史において数学が果たす役割を述べたものではない。思想的背景に多く言及しており、人物伝としての色合いも強い。数学とは縁遠い人でも読めるであろうが、記述の内容を理解しうる人は多くなかろう。
『2012』をみた。映像はすごいけど『ディープインパクト』のほうが10倍良い。